遺産相続に関する悩み事を7人にアンケート調査しました。
遺産相続は、法律の面でも、心理的な面でもややこしく、争いの種となってしまうことがあります。
今はまだ大丈夫と思っていても、いずれ両親や親族は亡くなってしまいます。
その時に、相続者達はもっと早く対策をしておけばよかった、司法書士、弁護士、税理士などのプロに相談しておけばよかったと後悔することは、よくあることです。
少し話が逸れましたが、今回は遺産相続で悩みを抱えている7人が、一体、何に悩んでいるかということです。
遺産相続について考えなければならないことはわかっているけど、何に悩めばいいのかすらわからない方や同じように悩んでいる人の何かヒントになれば幸いです。
また遺産相続に関してまったく縁がないという方は、周りではこのような悩みを抱えているんだと、知って頂ければと思います。
ちなみに、このアンケート調査は以下のように実施しました。
回答して頂いた方、誠にありがとうございます。
またアンケート結果以外に、遺産相続の悩みやトラブルをどこに相談すればいいのかも解説していますので、併せてご覧ください。
遺産相続に関する悩み事を7人にアンケート調査した結果
※以下の()は、(年齢/住所/職業)です。
義父の遺産を相続放棄したいが、義母から何の連絡もない
1年ほと前に主人の父が亡くなりました。
主人と義父は疎遠だったためか、相続の話しが何もありません。
そのうち何か連絡があるだろうと思い、ただ待っているだけです。
義母は健在なので、すべて義母が相続すればいいと思っているので、相続放棄したいと思っています。
しかし、疎遠なので主人に相談できないし、妻の私がしゃしゃり出ることもできないです。
どれだけのプラスの財産、マイナスの財産があるのかも分からないので自治体の法律相談に行って具体的な相談もできないです。
義母に何かあったとき私は困りたくないので、何かしら手を打っておきたいけど、だれにどのように相談したらいいかまったく思いあたりません。
自営業だった義両親がお店を閉めたときに、お店の財産のままにした車があるとかややこしそうです。
突然、抱えきれない問題が起こりそうで怖いです。
(42/東京都江戸川区/会社員、事務職)
夫の両親が複数の不動産を保有しているが、負債の相続が不安
夫の両親が、自宅マンションを含む複数の不動産を保有しているのですが、夫は弟もおり、どのように分配されるのかということに不安を感じています。
私は相続に直接口出しはできませんが、負債だけが残った状態で相続することに非常に不安を感じています。
また、夫の祖父が亡くなった際も、相続問題が曖昧になっており、どのように誰に何を相続したのかが、全く知らされていない状況です。
夫の祖父が存命のときには、自宅マンションの改修工事などで莫大な資金が必要でかなりの借金があるという話を聞いたこともあり、夫の両親も70歳近く、収入も限られた状態なので今後借金が完済されるとも思えません。
特に、権力を持っている夫の母親が、とにかくだらしない人なので、急なことがあった場合に、私たち夫婦に降りかかってくるものが大きいのではないかと心配しています。
(36/広島県広島市/専業主婦)
遺産相続に関して細やかな話し合いをしておらず悩んでいる
私自身と姉、兄の3人きょうだいです。
姉は嫁ぎ、兄も県外で結婚しました。
私はシングルマザーで、県外で息子と2人で暮らしています。
両親は新潟で暮らしています。
うちでは基本的に3人へ相続の流れですが、細やかな話し合いはしておらず、きょうだい3人とも特に希望や意見は述べておりません。
私自身も相続には深いこだわりもありませんし、他も同じ考えだとは思います。
しかし、仮にですが、実家に戻る予定もなく、私自身も相続を強く希望していない場合、親からしたらどんな気持ちになるでしょうか。
おそらく、姉はよく嫁いだ身だから関係ないと言ってますし、兄も帰る気はないようです。
その場合は私が受け継いで、親の言う通りにした方が良いのでしょうか?
(34/東京都葛飾区/飲食の自営業)
マンションと土地の相続税への対策を早くしたい
夫の実家が東京で、マンション経営をしています。
低層階で世帯数は20くらいの小さめのマンションですが、場所がわりと良いので入居率も悪くなく、毎月200万くらいの家賃収入があります。
夫のお父さんは大手企業に勤めているので、年間の給与所得も高いですし、生活はとても豊かです。
高級車を頻繁に買い替え、毎年海外旅行に行き、趣味はゴルフ。
ですが、息子夫婦と孫達へはたまーにお取り寄せグルメを送ってはくれますが、他の援助は全くしてくれません。
以前、上の子が生まれた時に学資保険をおねだりしてみたのですが、そのままナーナーになり、正月に帰省しても孫へのお年玉もはぶり悪く、お小遣いの1つもくれません。
息子夫婦が北海道が好きで移住してしまったから、意地になって何も援助しないでいますが、生前贈与や孫への学資保険に対する税金など何も知らないまま意地を張っているので、このままだと損をしてしまうと思います。
新しく知識を増やすことに興味がなく、その日暮らしを楽しむ性格なので、話し合いも出来ずにいます。
このままだと、いざ亡くなった時に、マンションと土地の相続税だけが山のように降りかかりそうで恐ろしいので、一刻も早くなんとかしたいです。
(37/北海道札幌市/事務パート)
土地と家の不動産しかないので弟夫婦に相続放棄を迫られる
父の死後、母と2人で実家に住んでいましたが、弟夫婦が実家をリフォームして、母と一緒に暮らすということで、家を明け渡すように言われました。
母はどちらかと言うと、私と暮らしたい様子でしたが、私が購入したマンションは手狭なので、仕方なく弟夫婦と一緒に暮らすことにしましたが、実家の土地や家を合わせると、3000万円以上の価値があるというにもかかわらず、現金がないので、私には何も相続させることはできず、すべての相続を放棄するようにと弟と、弟が相談した司法書士がしつこく私に連絡をとってきます。
私は結婚しておらず、この先もいつまで仕事が続けられるかわからないので、分割でも良いので現金での相続を希望していますが、このまま何も相続できないのか悩んでいます。
(42/福岡市中央区/出版業、編集)
口約束で遺産放棄したが、まだ間に合うのであれば請求したい
1年半前に実母が亡くなり、母の遺産の相続を出来る家族は、父と兄と私の3人でした。
母には、預貯金が約300万円、生命保険が2口で合計2,000万円位あり、借金はありませんでした。
ただ、父親に5,000万円ほどの借金があり、母が亡くなった際に、父親が私に『母の遺産は全部、わしの借金返済に充てるから』と言いました。
兄は遠い県外に暮らしており、収入も多く、その父親の言葉に『俺は母親の遺産はいらないし、自分の収入で生活できているから、高齢になって働けない親父が好きなように使えば良い』と言って受取りを放棄しました。
ずっと暴力やDVだった父親に、その時、私は口答えすることも出来ず、また、兄が真っ先に遺産放棄したこともあり、私も遺産を放棄せざるを得ませんでした。
ですが、今になって、私の子ども達も成長し、大学進学や高校進学でお金が必要になり、少しでも母の遺産がもらえる権利があるのであれば・・・と思っています。
遺産に関する書類は何も作成しておらず、ただ父親が全額受取っているだけで、私と兄が放棄したという事実は何も証明できない状態なんですが、まだ間に合うのであれば請求したいと悩んでいます。
(45/鳥取県鳥取市/ホテルフロント)
妻の実家の農地について相続の権利を有していないため、口出しできないのが悩み
妻の実家が兼業農家であり、農地を含めて土地を多く所有している。
また所有土地は未線引地域であるも、最近沿線に主要道路が開通したため、土地の相続税に関する評価額の計算については今後市の市街化計画の変更に伴い宅地並みの評価の恐れがある。
農地特例は農業を継続することが条件であり、今後自分たち世代が農業を正式に承継する必要性も生じてくる。
自分自身は相続の権利を有していないため、仕事柄知識があっても、相続については、所詮他人の親族の話であり口出しを控えている。
しかしながら、現在は妻の実家に同居している立場(いわゆるマスオさん)上、自分の今後の生活にもかかる重要な話であり、今後もどうしたら良いかを家族で話し合っていく必要があると思う。
(39/静岡県島田市/金融機関職員)
アンケート結果のまとめ
遺産相続に関する悩み事を7人にアンケート調査した結果を見てきましたが、いかがだったでしょうか?
それぞれに遺産相続の悩みが異なっており、切迫した悩みから、これから深刻になりそうなものまでありました。
遺産相続は、どれも同じではなく、複雑です。
それ故に、素人だけではどうにもならない分野です。
もしあなたが遺産相続で悩んでいるのであれば、まずは専門の先生に相談することをオススメします。
遺産相続の悩み・トラブルをどこに相談すればいい?無料相談できる場所は?
ここでは、具体的に遺産相続の悩み・トラブルをどこに相談すればいいか解説します。
市役所・区役所(無料)
まずは無料の相談先です。
市役所・区役所では、市内や区内に在住・在学・在勤者を対象として、無料相談を受け付けています。
例えば、神戸市のケースを見てみましょう。
神戸市では、一般相談等と専門相談に分かれていることがわかります。
一般相談等(先着順)では、日常生活における問題解決のための相談として、市民相談員が一般的な観点から「問題解決の糸口」を見つけてくれます。
そして、専門相談(予約制)では、市民相談員が相談内容の整理を行った上で、弁護士への法律相談が可能です。
神戸市では、専門相談は一事案に対して原則2回までとなっています。
これが例えば、渋谷区の場合だと、区民相談の利用は一人年度3回まで(下記参照)となっており、地域によっても、公的機関を利用した無料相談は多少、異なります。
ですので、詳細はお住まいの地域の市役所・区役所の公式ホームページでご確認ください。
弁護士
弁護士は裁判の代理が可能ですので、相続トラブルが起きている時に相談するのがオススメです。
例えば、わがままな相続人がいたり、相続争いが起きているような状況では、弁護士に相談するのがいいでしょう。
司法書士
司法書士は、不動産の相続手続きの代理が可能です。
ですので、遺産に不動産があり、名義変更が必要な場合は司法書士に相談するのがオススメです。
行政書士
行政書士は、遺産相続においてできることは限られますが、遺産分割協議書の作成を依頼したり、相続手続きのために相続人を確定するために戸籍収集を依頼したり、ピンポイントで依頼したい場合にオススメです。
行政書士は、他の士業と比較して料金が安い傾向にありますので、依頼したいことが行政書士でも可能な場合は、特にオススメです。
税理士
税理士は相続税の申告書の作成や提出の代理ができます。
そのため、相続税の申告がある場合に相談するのがオススメです。
ちなみに、平成27年1月1日以後の相続または遺贈の遺産に係る基礎控除額は以下のように計算できます。
3,000万円+600万円×法定相続人
上記の基礎控除額以下であれば、非課税となります。
そのため、相続税が課税された人の割合は2019年で8.3%と、10人に1人もいないことがわかります。
銀行
すべてではありませんが、銀行も相続の相談を受け付けているところがあります。
主に資産継承に関する相談を得意としていますので、資産家であれば、相談するのがオススメです。
ただし、法律的な相談は難しいため、その場合は提携している専門家が回答する形になるため、料金は割高傾向にあります。