空き家を持っていたことがある11人に、空き家の原因、対策、結果をアンケート調査しました。
空き家があり、どうするか悩んでいる人の事例として、参考になれば幸いです。
ちなみに、アンケート調査は以下のように実施しました。
回答して頂いた方、誠にありがとうございます。
それでは、早速、アンケート結果を見てみましょう。
空き家の原因、対策、結果のアンケート結果【事例】
※以下の()は、(性別/年齢/住所/職業)です。
空き家の原因
親が死亡したタイミングで、所有していた不動産を数件相続した。
そのうちの一つの家屋について、タイミング悪く、長期にわたって貸していた賃借人との契約が終了することになった。
家屋自体が古いためそのままでは新たな借り手を見つけることは期待できず、また、相続のタイミングと重なり税金面の問題で即時に改修作業に入ることが難しかった。
そのため、しばらくの間、空き家として放置せざるを得なくなった。
空き家対策
幸いなことに、奈良は最近観光客が多く流入することになり、その流れにのって、リノベーション業者や民泊事業を営もうと期待する人達が多く参入することになってきた。
そのため、できるだけ条件がよく、かつ、このブームが終了してもなお存続の可能性が高い形で家屋を引き取ってくれるような相手先を探して、賃貸あるいは売却の道を検討した。
その結果
結果、改修費用が安くつくから、という理由から、古民家風のリノベーションを業者の方にしていただき、自分の母親に民泊事業の代表をつとめさせることにした。
民泊として提供する程度の回収であれば、そこまで大がかりな工事をすることなく、内装の整備だけで充分に対応可能だし、かつ、万が一民泊事業に失敗したとしても、そこまで大規模な工事をしていないので(金銭的に)、被る負債も充分に対応可能であるとという考えからです。
現在は多くの外国の方が訪れて下さっているので、このブームが続く間は、このまま事業として継続させていこうと考えています。
(男性/32/奈良県奈良市/「出版翻訳業」の「フリーライター」)
空き家の原因
実家の父が亡くなったので、そのまま空き家になりました。
私も弟も自宅を持っていますので、実家に住むことは不要だからです。
しかし、土地が借地であるため、売却することも出来ない、建て替えすることも出来ないという中途半端な状態です。
空き家対策
老朽化しているので、改築しないと住むことが出来ないのですが、借地の上に建っているため、地主さんとの交渉が難航したので、そのままの状態です。
しかし、放置するわけにもいかないので、月に1回は風を通したり、掃除に行って何とか現状を維持しています。
その結果
まだ、そのままの状態です。
15年以上、空き家のままですが、地主さんが土地を売ってくれないので様子見状態です。
そのうえ、京都市内の土地の価格が高騰しているため、土地の取得はますます困難な状況になっています。
(女性/59/京都府京都市南区/専業主婦)
空き家の原因
離婚後に実家に戻り、父親と子供と暮らしていました。
実家が古かったので、建て替えることになった時に、私の名義に変更して建てました。
ローンが終わり、しばらく住みましたが、父親が病気になり、家での生活が困難になり、病院や周りの環境が便利な場所にあるマンションを購入し、家を売ろうとしたのですが、もともと父親の実家があったところだったので、父親が売りたがらなかったために、空き家になりました。
空き家対策
2年くらいは空き家のままで、時々行って空気の入れ替えをしたりしていました。
その後、その家の隣の人の長男が、貸して欲しいという話が来て、1年くらい住んでいました。
それから外国人向けの宿泊施設にしたいという話もきましたが、胡散臭い感じだったので断り、その後は倉庫として借りたいという話がきました。
その結果
空き家だった家の近所に、文化財になっているお宅があり、そのお宅が見物ができ、しかもギャラリーになることになり、家の家財を置く場所が欲しいということで、家を倉庫として借りたいという話でした。
よく知っている家で、信頼できたので、今は貸しています。
(女性/49/新潟県新潟市/医療業 看護師)
空き家の原因
夫の実家に姑が独りで住んでいたところ、急に亡くなり、その後、貸家にすることにしたが、その時点で築20年以上の古家で駐車場がないこともあり、最寄り地下鉄から徒歩15分程かかるところなので、しばらく借り手がつかず、半年以上空き家状態でした。
空き家対策
その空き家の横に、これも空室状態の小さなアパートを所有していたので、これを駐車場としました。
空き家のほうもトイレを二つとも洋式にし、和室や台所、リビングルームを軽くリノベーションして新たに貸し出しをしました。
不動産仲介業者も地元だけではなく、大手にも登録しました。
その結果
リノベーション費用や、駐車場増設に費用はかかりました。
最初は、あまり良い借り手に恵まれませんでしたが(家賃滞納等)、大手業者に紹介を依存するようになり、よい借り手の方が見つかり長く住んでいただいています。
およそ2~3年で初期投資は取り戻せました。
(女性/55/愛知県名古屋市名東区/専業主婦)
空き家の原因
一人暮らしだった「祖母」が亡くなり、祖母が住んでいた家が空き家になってしまいました。
祖母には、3人子供がいますが、すべて結婚しており、家庭を持ち、自宅を持ってるため、祖母が住んでいた空き家を使う人がいませんでした。
空き家対策
しばらくは、祖母が住んでいた家は、空き家状態が続いていました。
ただ、祖母の子供のうち、自営業をしている者がいました。
自営業の事務所は、簡素なもので祖母の自宅からも近かったため、自営業の事務所を祖母が住んでいた家にそのまま移転することにしました。
その結果
空き家対策として、毎日兄弟間で交代で見回りするようにしていたのですが、事務所として人が常駐するようになり、見回りの負担がなくなりました。
事務所の賃料も、家の改修費のみなので、大幅に減り、経費節減になりました。
(男性/39/千葉県柏市/不動産業の「総務」)
空き家の原因
私の住んでいる地域は、高齢者の割合と持ち家の割合が高いです。
当地域で考えられる原因としては、実質的な相続放棄かと思われます。
若い夫婦はなかなか田舎の土地を好みません。
相続しても管理しに来る人はいません。
結果として空き家になっていくものと考えています。
空き家対策
都市部に住んでいる方(老後ののんびりした生活を求める人や自給自足生活を求める人等)に対してアプローチをかけて、田舎暮らしをあっせんした。
また、商用利用できないかを地元の飲食店や小売店をメインに出店依頼をかけた。
その結果
東京からの移住者(単世帯家族)に対して、土地家屋の販売とリフォームの依頼を受けました。
定住という形ではなく、別荘のような感じで暮らして見えます。
その方の移住目的は、お子様が体がもともと弱く都市部の排気ガスや粉塵類によって症状が悪化したからとのことです。
(男性/30/岐阜県土岐市/「建設業」の「建築士」)
空き家の原因
30年前に実父が建てた、5LDK、60坪の一軒家です。
家族四人(両親、長男、長女)で暮らしていましたが、私(長女)は結婚し、別に家を建て長男は県外に就職し、そんな中に父が要介護になり、段差や広く移動に不都合のある一軒家では暮らすのに難しくなりまた。
庭の管理や町内の活動の参加も負担になり、バリアフリーなマンションに引っ越しました。
空き家対策
しばらくは空き家でしたが、近所のひとが家を建て替えるからその間住まわせて欲しいとの事で、1年程、月5万の家賃で貸し、それを機会に知り合いの不動産屋さんにお願いして、貸家として二年間限定で、月5万で庭の草むしり条件で人に貸す事にしました。
その結果
とりあえず二年間は住んでもらいました。
その後、更新せず退去したいと言われ、また空家となり、1年経ち、やはり固定資産税や庭の草むしりが負担となり、再び同じ不動産屋さんにお願いして売却することにしたら、すぐに買い手が見つかり売却しました。
寂しく思いましたが、その後すぐ空き家問題が浮上し、あのタイミングで売れよかったです。
(女性/48/愛知県名古屋市/公務員、保育士)
空き家の原因
地方の過疎地。
祖父母が住んでいたが、祖父が亡くなり、祖母と実母で住んでいたが祖母が亡くなり、母一人で住んでいたが母も亡くなった。
更地に解体するのに300万以上かかる上、周辺の更地も買い手がつかない状態が続いていて必然的に空き家になった。
空き家対策
地域の自治会や老人会に相談した。
知人にも連絡した。
家賃の条件を下げた。
電話、光熱費は常識的な範囲で家賃込みとし、借りてがつけば具体的に借りてと相談することにした。
月に3000円以内で損失を覚悟した計算。
その結果
一年ほど経過して知人から電話があり、結局その知人が借りてくれた。
知人の息子が画家で、描きあげた絵画の作品の倉庫に使っている。
ほぼ寝泊まりはないので、更に家賃を下げたことでまとまった。
当初の予定通り、年間4万ほどの損失(固定資産税と同じくらい)だが、確定申告で給与から控除されていて、現時点では悪くない選択だと思う。
(男性/48/神奈川県横浜市/医療、放射線技師)
空き家の原因
亡くなった母親が居酒屋兼、マイホームとして一人で住んでいました。
他県で遠方でした。
母親が亡くなってから、わたしの兄のために残しておきました。
しかし、わたしの兄は海外にいたため、わたしは兄が帰国してから、どうするかを兄に判断してもらうと決めていたからです。
空き家対策
冬には、雪が多く、すごく高く積もるところだったので、二重扉にしたり、床もリフォーム業者にお願いをしました。
床材や壁も老化が激しかったので、なるべく湿気に強く、頑丈な素材のものに、張り替えをお願いしました。
その結果
空き家になっていた分、床もボロボロで、壁も剥がれていたのが、リフォーム業者に頑丈なおかつ、綺麗にリフォームしてもらったら、新築みたいに内装が見栄えよくなりました。
見違えました。
床の凹みなどなくなり、歩きやすくなりました。
(女性/30/静岡県/介護職のパート)
空き家の原因
建物が古いからだと思います。
隣に建っている家が新築な為、余計に古く見えます。
駐車場も1台分しかなく、私だったら凄く不便です。
路上駐車も出来ないし、車の置き場所に困ると思うからです。
反対隣が公園で、子供の声がうるさく感じる人もいるかと思います。
空き家対策
家賃を下げた。(15000円)
敷金礼金なし。
内装を綺麗にした。
クロス全室張り替え、キッチン交換、洗面台交換、玄関前、駐車場を舗装にした。
来月、外装を張り替える予定です。
それでも空き家なら、窓交換も検討中です。
その結果
まだ空き家です。
内覧する人は増えたのですが、なかなか入居者が決まりません。
あと2年位空き家なら、解体して土地のみ売却するかもしれません。
現在も不動産会社へ相談中です。
どうしたら空き家解消に繋がるのか。
色々考えて下さっていますが、今の所は空き家です。
(女性/43/北海道札幌市/専業主婦)
空き家の原因
もともと義母の実家でしたが、義母が地方にお嫁に行ってしまったため、おじいちゃんおばあちゃんがなくなってしまって空き家になってしまいました。
もともと一軒家で時計屋さんを営んでいましたが、もうおじいさんがなくなってしまってそのままの状態で空き家です。
空き家対策
施錠はしっかりとして、本当に時々、年に一度か二度くらいは空き家に来て片付けなどをしている状態です。
広告やはがきなどが沢山貯まってしまうので、それを捨てたりしています。
あとは換気をしています。
その他は、ずっと締め切りです。
その結果
まだ家という状態は保てていますが、新しくその土地に家を建てなおすかどうするかしないとならないくらいに老朽化しています。
階段もミシミシと音がするし、台所もお風呂場も少しかび臭いので、もう使えないかもしれません。
でも冷蔵庫などはそのまま残っています。
(女性/31/東京都北区/専業主婦)
アンケート結果のまとめ
空き家の原因、対策、結果のアンケート結果を読んで、いかがだったでしょうか?
空き家の対策としては、売る、賃貸する、管理する、そこに住むなどの選択肢がありますが、どの方法を取るにしても色々な対策が必要です。
空き家を売るためには、できるだけ高く売る対策を取る必要がありますし、賃貸するにも、管理するにも対策が必要です。
そこに誰か住むのであれば、その選択肢だけは考えることは少なくて済みます。
ただ、誰も住む人がいないから空き家になっているのであって、話はそう単純ではありません。
それぞれの対策を勉強して、空き家対策を進めましょう。
空家対策特別措置法の施行で固定資産税が最大6倍
2015年に施行された空家対策特別措置法で、空き家の固定資産税が最大で6倍になる可能性があるのはご存じでしょうか?
というのも、2013年の時点で空き家の数は全国で約820万戸と増加傾向にあり、適切にかんりが行われていない空き家が地域住民の生活環境に深刻な影響を与えて問題となっておりました。
ということで、この空き家対策として、上記の空家対策特別措置法が施行されたのです。
この法律は特定空家等と指定された空き家の所有者に対して、『助言・指導』、『勧告』、『命令』、『行政代執行』、『略式代執行』という措置が行われます。
これでなぜ固定資産税が最大6倍になるのでしょうか?
なぜなら、もともと住宅用地には住宅用地特例率を乗じた額が課税されるのですが、200平方メートル以下の部分は小規模住宅用地として評価額×6分の1、200平方メートルを超える部分は一般住宅用地として評価額×3分の1が固定資産税として課税されるようになっているのですが、『勧告』が出されますと、この特例から外されてしまうということです。
『勧告』は、『助言・指導』を受けた後に、それでも空き家の状態が改善されない時に行われる措置ですので、それまでは時間があるとは言え、そのまま空き家を放置してしまうと、固定資産税が最大で6倍になってしまうということです。
ただ、空き家であれば、どんな状態であってもダメという訳ではありません。
問題となる『特定空家等』とは、以下のような空き家を指します。
○「特定空家等」とは、
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
不適切である状態
にある空家等をいう。(2条2項)
つまり、適切に管理している空き家であれば、固定資産税が最大で6倍になるようなことはないということです。
ですが、実際は適切に管理されている空き家というのは少ないのが現状です。
国土交通省の『空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(概要)』を見てみますと、平成27年度から令和元年度に至るまで、『助言・指導』、『勧告』、『命令』、『行政代執行』、『略式代執行』の措置が増加傾向にあるのがわかります。
また、『勧告』措置が出されると、固定資産税が最大で6倍になるという話しをしましたが、行政代執行まで行くと、所有者に代わって建物を行政が解体を業者に依頼したり、問題となっているゴミの撤去や周辺環境に悪影響を及ぼしているものを業者に頼むということになります。
その費用は後日、所有者に請求され、支払わない場合は不動産や財産の差し押さえられることになります。
言い忘れましたが、行政代執行の前の命令ですが、この命令に従わないと、50万円以下の罰金が科せられるのも注意が必要です。
※ちなみに、略式代執行とは、特定空家等の所有者等が特定できない場合に行政が行う措置を指します。
ここまでの話でわかることは、空き家を適切な管理なしで放置するのは、とても危険であるということです。